現在に生きる「歴史」

筆者は一種の歴史マニアである。前にもこう書きましたね。

筆者の歴史の勉強は、ひとえに中央公論社版の「日本の歴史」「世界の歴史」につきます。一体、この42冊に出会ったことで筆者の人生は変わりましたね。だからといって、歴史学者になったわけではありませんが。

今も、こちらに何冊か持ち込んでいます。その中の一冊が世界の歴史第5巻「西域とイスラム」です。ちょっと古くはなっているんでしょうが、概説書としての価値は決して損なわれていないと思います。ヨーロッパに来て、早速、かねてあこがれのリーグニッツの古戦場を訪ねたものでしたが。

ところで、この中で、イスマイリ教団のことが触れられています。イスマイリ教団と言うのは、現在のイランを中心に11世紀ころに勢威を振るったイスラム教の一派で、暗殺者集団を抱えたことで有名です。この教団は、若者を誘拐してはひととき酒池肉林の世界に浸らせた後現実世界に戻し、再びあの世界に帰りたければ自分の言うことを聞くべしと命令したとか。結局、13世紀にモンゴルに滅ぼされたようですが、残党が中央アジアに残ったとのこと。同書によれば、「世界で一、二といわれる大富豪アガ=ハーンは現在のイスマイリ教団の教主で、この一族は代々すぐれたウマと美人をあさるので世界的に有名である」とありますが、同時に、昔のロシア貴族のような肖像が掲載されており、こんなのがいまもいるんだろうか、とずっと(初めて読んだのは今から30年位前)思っていました。

ところが、最近、ふと検索エンジンで調べてみるとありましたありました。なんと、当主は品のいい紳士で、「アガ=カーンネットワーク」の主催者とか。どうも、貧しい子供たちの教育のNPOのようであります。URLは下記。

http://www.akdn.org/default.asp

いや、依然世界的な大富豪なんでしょうが、ずいぶん近代的になっており、実際驚かされました。いやー、この世界、まだまだ奥が深そうです。