2010-01-01から1年間の記事一覧

視覚対象としての君主

今日は、ベルリンを散策していました。昔の離宮であるシャルロッテンブルク宮殿を訪れたんですが、これがなかなかで、結局4時間も居てしまいました。ご他聞に洩れず、ここも第二次大戦の被害が相当あったようですが、残るところは残っており、それなりの見…

マニアックウィーン紀行(第4日目)

たっぷりの朝食後、チェックアウトの時間を確認してから小散策へ。晴天で気持ちがいい。人気の少ないウィーン運河沿いの散歩道を歩いて、カイザーバート水門監視所に。この監視所もオットー・ヴァーグナーの作品で、小さいながら彼らしい独特の存在感。ただ…

マニアックウィーン紀行(第三日目)

昨日から天気が良いせいか、急に暑くなる。 朝一番は、フロイト博物館に。フロイトがナチスに追われるまで住んでいたアパートで、診察室も兼ねていたところ。町並みの中に何気なく入口が。中学生から愛読していた「心の話」という本の半分くらいがフロイトの…

マニアックウィーン紀行(第二日目)

昼食を摂れる保証が無いので、ホテルでしっかりと腹ごしらえをして出発。ホテル近くのドナウ運河沿いに少し歩くとウラニア天文台が。ここは20世紀始めにできた天文台だがもちろん今は機能しておらず、今はプラネタリウムになっている。しかし、古風な雰囲…

マニアックウィーン紀行(第一日目)

今回は車で。 チェコからオーストリアに入ると道路が格段に良くなる。天気も朝方の曇天から晴天になり、何だか「西側」気分を味わう。ただ、国境からウィーンまではそんなに距離が無いため、有料(ステッカーを購入してウィンドウに貼る必要あり)の高速道路…

ロシアにおける文系と理系

本当に久しぶりのエントリーなんですが、言い訳せずさっと書いてしまいましょう。最近、機会があってロシア(サンクトペテルブルク)に行ってきました。昔からの知り合いにフルアテンドしてもらい、本当に助かりましたが、実は今、ネオナチの襲撃のリスクが…

第一次大戦というもの〜現代を見る目

歴史には時々、なぜ起こったのかわからない現象があります。例えば、イスラームの興りなんて、宗教的熱情といえばそれまでですが、なぜあの時代、あの場所だったのか。 あるいは、日英同盟はなぜ消滅してしまったのか。あれって、太平洋戦争の遠因だと思うん…

ブダペストから(その2)

さて、2日目ですが、最初にその名もおぞましい「恐怖の館」に行きました。いや、別にお化け屋敷ではなく、第二次大戦前は極右政党「矢十字党」の本部、戦後は秘密警察の本部になった建物で、共産主義崩壊後にそれぞれの時代の所業を告発する形で公開されて…

ブタペストから(その1)

先週末、当地はイースターで国によっては商店やレストランなどがすべて閉まるところがあり、そうでない国にとっては結構な観光シーズンです。で、筆者もハンガリーの首都ブダペストに行ってきました。中心部に到着したのは夜の11時頃と大分遅かったんです…

ファン心理とナショナリズム〜風観羽さんへの回答

畏友風観羽さんからコメントをいただきました。ファン心理とナショナリズムの違いについて分析してみたら、という示唆でしたが、ヨーロッパと言うところ、本当にナショナリズムを考えざるを得ない場所です。結論から言うと、ファン心理は「そのチームを選択…

遠くのものの小さすぎるイメージ

最近読了したハルバースタムの「ベスト・アンド・ブライテスト」はなかなか示唆に富む本で、さまざまな警句に満ちていますが、その中で面白かったエピソードとして、キューバ侵攻を計画していたケネディとそのグループに対し、ある将軍がキューバの地図とア…

スポーツチームへのファン心理というもの

筆者、スポーツ観戦はまあ人並みに興味があるんですが、どうにも分からないのはチームのファンという心理です。 例えば、筆者の周りにも阪神ファンとか広島ファンとかがいますが、なぜそのチームのファンであるかを聞いてみても、しばしば答えられないことが…

突き詰めないことの効用〜いわゆる「密約」問題に思う

このブログ、「日記」とありますが、いわゆる身辺雑記は基本的に書いていません。いわば、小論文集のようなものです。そのため、書けないときには徹底的に書けませんね。というわけで、しばらくご無沙汰でした。ところで、いわゆる「密約」問題が一部世間を…

「聖おにいさん」と日本人の宗教意識

年末に日本に帰国した際に、静かなブームになっている漫画の「聖(セイント)おにいさん」を買って帰りましたが、これが期待にたがわず面白くて。 話は、ブッダとキリストが下界での休暇を楽しむために、立川でほとんどニートの生活を送るという、一話完結の…

ドレスデンにて

最近、忙しさにかまけてすっかり更新をさぼっていました。まあ、単身赴任も長くなり、またヨーロッパの冬はどうしても精神的に落ち込みがちになりますね。 で、週末を利用して、気分転換にドイツ東部の町ドレスデンに行ってきました。ドレスデンはその昔はザ…

なぜ日本人は海外に出かけなくなったか

法務省の統計によれば、2008年の海外出国者数は前年に比べ、約10%減ったとか。また、特に最近は若者が海外に出て行かなくなったと言われています。そこで、なぜ日本人が海外に行かなくなったのかを考えてみます。一番の要員はやはり経済的な理由から…

国母選手の騒動に思う

大分旧聞に属しますが、バンクーバーオリンピックでの国母選手の振る舞いと、その後の騒動はネット上でも賛否両論相当な波紋を広げました。今回はこの件について少し考えてみます。 海外生活をしている立場からすると、まず言いたいのは、税金で参加している…

キイボードに代わる入力手段の可能性

最近、更新をさぼっていました。別に体調が悪いわけじゃないんですが、いろいろ忙しくて書くのが億劫になるときがありますね。一つは、日頃仕事でパソコンばかり使っているので、打つのが飽きているという面があります。筆者の趣味である料理なんか、やって…

雪斎殿の40年周期説と我慢のしどころ

政治学者である雪斎こと桜井淳東洋学園大学准教授のブログは欠かさずチェックしていますが、少し前の「2045年へ・・・」は秀逸でした。http://sessai.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-9ca6.html氏は、いわゆる近代日本盛衰四十年説を引用しながら、…

戦艦武蔵

年末に一時帰国しまして、その際、両親のもとにも顔を出しました。で、何冊か本ももらってきたんですが、その一つが吉村昭の「戦艦武蔵」で、帰りの飛行機の中で読んでしまいました。 実は、少し前にこちらで見ていたTV番組の中で、ドキュメンタリーの秀作と…

文藝春秋というもの

今月もまた文藝春秋が届きました。 いつも思うんですが、この雑誌、ここだけ昭和から時間が止まったような錯覚に陥らせてくれます。 まず、追憶ものが非常に多い。それもほとんどは昭和の時代が対象です。 それから、軍隊関係の記事も欠かしていません。「日…

原典にあたることの重要性

今月号の文藝春秋の佐藤優氏の「古典でしか世界は読めない」第1回「『ヂパング』をめぐる認識ギャップ」は秀逸でした。 論のキモは、マルコ・ポーロの「東方見聞録」の日本に関する記事で、わが国では、「日本は黄金の国である」と書いてあるとしか知られて…

彫刻的絵画

年末、日本に一時帰国する際に、フランクフルトで時間があったので、シュテーデル美術館に行ってきました。丁度、ボッティチェリ展をやっていたんですが、勉強になりましたね。ヨーロッパの美術館は、王侯のコレクションがルーツのところがほとんどであるた…

坂の上の雲について

NHKの「坂の上の雲」を見ていますが、やればできるじゃないかという感じですね。「天地人」があまりにひどかったこともありましたが、とにかく造りが丁寧で好感が持てます。いや、俳優陣については天地人も熱演ではあったと思います。特に松方弘樹の家康なん…

何でも知っているバカ

その昔、内田百輭が「何でも知っているバカがいる」と言ったそうな。筆者、この言葉を聞くと、ぎくっとしてしまいます。自分で言うのはおこがましいですが、結構広く興味を持っている方であると自負しています。しかし、それが何になるのかと言われると難し…