アヒルの水かき

筆者の住んでいるところでは先週よりひどく寒くなり、すでに朝晩は5度くらい、日中でも10度ちょっとになっています。日本ではまだまだ暑いようですが、こちらではみなジャンパーかコートをはおっています。どうも、もう一回くらいは暖かくなりそうな予想はありますが、でもそろそろ冬支度モードです。
考えてみると、本当に暖かかったのは5月から8月までのみということになります。この、1年の3分の1の期間で作物は実り、虫たちは子孫を残すんですね。ということは、あとの3分の2はその準備期間あるいは全くの「引きこもり」期間と言うことになります。人間だって、この期間の収穫に頼っているわけですね。
これって、何だか、アヒルの水かきを思い出してしまって。要するに、優雅に水面上を滑っているようで、水面下で必死にこいでいるあれですね。夏の盛りのために後の期間を必死に耐えている。温暖な期間の短いヨーロッパにいると余計そんな思いがあります。

でも、この長い冬がヨーロッパの知的原動力になっていると考えられます。だって、こんな鬱陶しい時期にはアウトドアでの活動は制限されるわけで、それだけ思索やインドアの娯楽が発達するわけです。今でも、オペラなんか夏はほとんどやっていません。シーズンは冬です。
でも、こんな活動ができるようになったのも、ヨーロッパがある程度ゆとりが出てきたからであって、昔のヨーロッパは単なる後進地域だったはずです。それまでは、やはり中東とか中国なんかが先進で、ヨーロッパの庶民の暮らしもなかなか厳しかったろうなと感じるこの頃です。