GMの合併騒動

アメリ自動車産業のトップであるGMが苦境に立たされています。いや、苦境なんてものではなく、数兆円の債務超過(ただの債務じゃなくて債務超過ですよ)に陥っているとのこと。
折からの金融の混乱もあいまって、GMの株価は一時、4ドル台になったようですね。今はだいぶ値を戻しているでしょうが、それでも歴史的低水準にあることは確かです。
それにしても驚いたのは、クライスラーを買収しようとしたり、その前にはフォードとの合併交渉をも行っていたとか。
この会社の経営者は、会社というものをどう見ているんでしょうね。企業の合併というもの、非常にリスキーかつエネルギーを要するものです。筆者も合併を経験した会社に奉職していますが、異文化のぶつかり合いというものはそれは凄いものがあります。例えば、組織の名づけ方とか人事異動の時期とか、今まで当然と思っていたことを否定されるのは非常にストレスを感じるものです。まあ、筆者の居る会社の場合、異業種であったことと共通の目的があったため、割合スムーズだったように思いますが、これが水平合併だったらと思うと冷や汗が出ます。
まして、GMの指向しているところは、完全な水平合併でかつ追い詰められた者同士ですので余計大変です。追い詰められているということは、要するにリストラを意味するわけで士気の上がりようがありません(因みに、昔、住友銀行が平和相互銀行を吸収した後、数年で旧平和の行員は一人残らず追われたという話を聞いたことがあります。真偽のほどは知りませんが)。さすがにフォードは断ったようですが、いったい企業の文化というか、生身の集団であるという感覚は無いんでしょうかね。
これがアメリカ式のMBAの発想の典型であるかは知りませんが、少なくともアメリカのエリートの現場感覚の無さを示しているようには感じます。
でも、少しGMの歴史をかじったことのある者として、そもそもGMってとらえどころのない会社ではあります。少し前まで、シボレーとかフィッシャーボディーといった、大昔の合併前の各社の文化を引きずっていた部分も多かったそうな。それでも、ここ20年くらいは縮小均衡を図りながら筋肉質化してきたように観察していましたが、結局、生まれを克服できなかったんでしょうか。

それと、これだけ長期低落が続くと、人材の質の低下は相当に進んでいることでしょう。GMがなかなか新製品を出せない理由はこの辺にあるのではと思います。

この会社が現場感覚に則った経営に戻ることができるか、一つの見ものではあります。