再びGMについて

いやー、GMなどデトロイト3もいよいよ追い詰められてきましたね。
この問題、いろいろな見方ができそうですし、かんべえ氏はじめすでに多くの指摘があるので今更なんですが、まあ蛇足ということで。

まず、この間の公聴会、社有ジェットで乗り付けた話ばかりが有名になっていますが、我々からすると常識を超えたような話がいくつもありますね。
まず、経営者の高給。まあ、あれだけの大企業の経営者なんだから、とはいえ財務上は倒産寸前のボロ会社ですからね。それが数億円という単位の報酬を食んでいるわけです。その昔、「晴れた日にはGMが見える」と揶揄された時代には、役員は専用フロアで皆三つ揃いを着て昼間からフルコースの昼食を楽しんでいたとか。その後、CEOになったジャック・スミスはそのような雰囲気を嫌い、テクニカルセンターを本拠にして毎日一般の社員とともに食堂に並んでいたとか。でも、元の木阿弥だったんですかね。

また、債務超過、かつそれが数兆円という規模であるにもかかわらず、相変わらず配当をしている。これは今に葉始まったことじゃなく、ここしばらくそうだったわけですね。ちょっと普通の神経では理解できません。まあ、無配になった場合のインパクトというのもあるにはあるでしょうが、もうどこか狂っているとしか言いようが無い。

しかし、改めてUAWの罪は深いと言わざるを得ませんね。アメリカ、特にUAWなんか、本質は労働者の代表なんかじゃなくて、一種のコンサルタントみたいなものです、それもかなり悪質な。つまり、自分たちが会社と交渉してあげるから、組合費を払ってね、という勧誘をする。別に労働者自身が立ち上がっているわけじゃない。いや、ルーツはそうだったかも知れないけれど、今や、大学(ミシガン州立大なんかをはじめとして)を出てUAWに就職したスタッフがその中心です。ですから、労働者の利益を代表するとは限りませんね。最終的には、UAW自身とか、UAW内の自分の出世がしばしば優先されるようです。この辺、日本的な感覚からはなかなか分かりにくいですが。

しかし、伊藤洋一さんなんかが書いていましたが、ことこのような状況になれば優秀な人材は入って来ず、今いる人も逃げ出していることでしょう。そもそも、一般的にいって最近、アメリカの工学部の卒業生は自動車業界に就職していたんでしょうか。日米の自動車は製品自体には大して差が無い、という声も多いようですが、モデルを出す力には大きな差があるように思います。特にその速度において。

まあ、今やデトロイト3の問題は、短期的な痛みも相当大きいかもしれませんが、長期的には過去の栄光の産業を守るのかどうかという感情的な面がかなりを占めているようにも感じられます。

しかし、一方でデトロイト3の底力がゼロとも言えないでしょう。破産法を適用されて身軽になった場合、どのような姿になるか。まだまだ興味は尽きません。