オペラの愉しみ(その1)

昨晩は、久しぶりにオペラを聴きに行きましたが、すばらしくてまだ興奮さめやらないという感じです。演目は、サンーサーンスの「サムソンとデリラ」だったんですが、ソリストの力が凄くて。豊かな歌声は本当に満ち足りた気分にさせてくれます。

筆者の住居から来るまで時間くらいのところに人口60万くらいの町がありまして、そこに常設のオペラハウスがあるんですね。秋から春にかけてはほとんど毎日なにかやっています。ただ、昨日は特にリキが入った公演のようで、ゲストのソリストを何人も揃え、衣装なんかも新作のようでした。その分、値段も多少高かったですが。

オペラハウスは、座付きのソリスト・合唱隊に加え、バレエチームにオーケストラを持っているわけですが、特にソリストはどうしても座付きだけだと限界がありますね。力量もそうですが、やはりキャラクターもあります。先月観た「リゴレット」では、敵役の「好色な公爵」役のソリストがどうしても好色に見えなくて困りました。普段は実直な、例えば「カルメン」のドン・ホセなんかやっている歌手ですので、最初出てきたときは敵役じゃないと思っていたくらいでした。
昨日のサムソン役は、素朴でむくつけき男という設定どおり、葉加瀬太郎かパパイヤ鈴木か(誤解ないように言っておきますが、彼ら、筆者として好感度が高い方たちです)といったキャラクターで、まさにうってつけでしたね。
もっとも、オペラの場合、必ずしもキャラクター設定に合わない歌手が演ずるのはよくある話でして。特に、体型的には、かなりふくよかな方が多いのが歌手の世界であります。また、しばしは、ふくよかな方って、声もふくよかなんですよね。以前、筆者がアマチュアで出たことのある「カルメン」では、カルメン役のソリストがどうにも迫力のある体型だったこともありますし、「アイーダ」を聴いてきた友人曰く、「アイーダって、悲劇のヒロインなんだけど、ソリストが前から見ても横から見ても、斜め上から見ても形が変わらない人だったんで、どうも悲劇らしくなくて・・」と嘆くのを聞いたこともあります。
そういう意味では、才色兼備のマリア・カラスとか、テレサ・ベルガンサなんかが引っ張りだこになったのも、むべなかなというところでしょうか。