オペラの愉しみ(その2)

総合芸術であるオペラですが、内容はなかなかあぶないものがあります。
まず、悲劇の場合は大体、殺人ですね。あるいは目をつぶしたりなんかも日常茶飯です。その意味では、ナイフとか剣はオペラの必須アイテムです。
また、濡れ場も実に多い。大体、殺人の理由の大半は色恋沙汰ですから、どうしてもそうなりますね。
そういう意味では、およそ教育上良くない内容ばかりです。

まあ、コンサートもそうですが、劇場というもの、大人の社交場ですね。欧米ではレストランなんかも、子供が入る雰囲気でないところはいくらでもあります。そういう前提のもと、刺激的な内容を着飾った紳士淑女が楽しむということになります。
それにしても、そうした内容のどぎつさは、日本人から見ると多少違和感を禁じえないのも事実です。これは筆者だけの感想ではなく、カルメンとか椿姫なんか、初演当時は内容が刺激的過ぎるということで物議をかもしたようですね。

こういう構図って、例えば、冬の暖炉の前で品のいい老婦人が推理小説を読む図にも通じますね。要するに殺人小説ですから。まあ、人間のどろどろした感情の昇華部分ということなんでしょうか。

でも、傑作とされているオペラは、大体悲劇が多いですね。そもそも、こってりした歌唱で人間の内面にぐいぐい食い込んでいくのがオペラのそれですから、どうしても悲劇の方がなじみやすいんでしょう。まあ、肉食を主体とする人たちが生み出した芸術であるのは確かなようです。