プルゼニュ/ピルゼンという町

昨日書きましたとおり、筆者、この週末、チェコに滞在していました。泊まっていたのは、プルゼニュという町なんですが、日本人には、旧名(ドイツ語名)のピルゼンの方が通りが良いでしょうね。そう、あのビールで有名なピルゼンです。
なぜピルゼンがビールのメッカになったのかはいろいろ理由があるようですが、一つは水でしょうね。ホテルにチェックインして、まず気がついたのは、ミネラルウォーターが置いていないことです。それだけ、水道水に自信があるというだと思います。実は、ヨーロッパで部屋にミネラルウォーターが置いていないというのは非常に珍しいんですよ。水圧もやたら高かったですし。
町の中心から、徒歩数分のところに、「ピルスナーウルクェル」という、非常に有名なブランドの醸造所がありまして、ガイドツアーに参加してきました。お決まりの工場見学のあと、おもむろに地下に降りますと、そこには網の目のように張り巡らされた地下道が。聞くと、昔はここにビールを貯蔵して熟成させたとのことで、温度は常に5度くらいだとか。これが工場の敷地の地下に総延長数キロにもなっているんですね。
実は、町の中心にも地下道のネットワークがあり、これも別なガイドツアーになっていて、行ってみました。雰囲気はビール工場のそれと大差はないんですが、地下のそこかしこに井戸がある。まさに「水都」という感じでしたね。
ビール工場のガイドツアーの最後はお決まりの試飲なんですが、これが地下道内の巨大な木樽からつがれるもので、雰囲気ともあいまって何ともいえずうまかったですね。
あと、途中、大昔の記録映画を見せられましたが、なぜか作業員がこちらをむいてジョッキを掲げながら、「カンパイ」なんて言うんですね。たぶん、聞き間違いじゃないと思います。チェコ語では、「ナズドラヴィ」ですから。ここだけは、思わずぶっ飛びました。

因みに、今回泊まったホテルは、19世紀末に建てられた歴史的建造物だったんですが、ここも、第二次大戦で爆撃を受けたり、連合軍に接収されたり、国営になったりした経緯を経て、ビロード革命後、アメリカに逃げていた創業者の孫が再度手に入れて今日に至ったそうな。その他、町には消滅させられたユダヤ人コミュニティを偲ぶモニュメントがあったりして(そのたたずまいから推察するに、多分皆殺されたようです)、ここでもまた、戦争の傷跡を実感させられました。多分、ビール工場もいろいろあったんでしょうね。