私の歴史原体験

しばらく更新をさぼっていましたが、日本に一時帰国していたもので。それにしても、インフルエンザ騒ぎは国外から見ると異常ですね。弱毒性らしいので、もう少し冷静というかまともな対応をしてほしいものです。

さて、筆者の周り、というか親戚筋でのメールのやりとりで、近所の意外な場所が歴史的な場所だったということで盛り上がっています。

筆者が歴史に本当にのめりこむきっかけも、やはり身の回りの歴史性に対する気づきにありました。

筆者、東京都杉並区の生まれなんですが、高校生の時にふと石神井公園までサイクリングをしたわけです。大体、東京人というもの、案外行動範囲が狭いものでして、筆者もそれまで新宿から吉祥寺の間で生きていたようなものでした。ですから、それなりの小旅行だったんですね。

行ってみて驚いたのは、そこが戦国時代の豊島氏の城跡で、太田道灌に攻められ敗死したのを知ったことです。豊島氏は豊島区や豊島園の名前の元になった豪族で、今の練馬区板橋区を勢力範囲にしていたんですね、ですから、赤塚城とか平塚城とか、あるいは豊島園も練馬城の跡だったわけで。それが、太田道灌と抗争し、江古田ヶ原沼袋の戦いで敗れて石神井城に逃げ帰り、そこで滅亡したとか。今でも、その堀の跡が残っています。
それにしても、石神井とか練馬とか江古田とか沼袋とか、今まで何気なく見ていた土地にそんな歴史があったとは!今まで歴史と言えば、信長・秀吉・家康を始め、全然違う世界だったのが、急に生々しく立ち現れてきたわけです。
この時からですね、マニアとしての歴史から、現代を見る視点としての歴史に目覚めたのは。

その延長線上で、大学に入ってからも、東京の探検、と言うか名所めぐりをしましてね。おしゃれな店は全然知りませんが、東京の「古層」については相当詳しいつもりです。

もっとも、就職で愛知県に赴任してみたら、「あの」矢作川がすぐ近くにあったり、地元出身の同僚がすぐに「たわけ!」を連発するなど、三英傑の世界が実際にそこにあって、いささかびっくりしましたが。

さて、そうした原体験のせいでしょうかね。ヨーロッパにいる今も、どうも観光地めぐりというよりも、ある国を集中的に回る傾向になっています。しかも、大体において小都市の方が味わいが深いですね。こういうふうに、点というよりも面で回っていると、おのずとその国のイメージが膨らんで来るんです。こういう感覚は、首都やメジャーな観光地だけを訪れただけでは味わえないだろうなと、ひそかにほくそ笑んでいます。もっとも、所詮旅行者でしかないだろうなとも思いますが・・・