スロヴァキア紀行(その2)

さて、二日目の朝、バンスカー・ビストリッツァを出発し、南部のバンスカー・シュティアヴニッツァに向かいました。何だか同じような名前ですが、詳細はよくわかりませんのでご容赦を。
それにしても、スロヴァキアは本当に山がちです。バンスカー・ビストリッツァも川沿いで、三方にすぐに山が迫っている町でしたが、バンスカー・シュティアヴニッツァの方は、もう町全体が山道のような坂だらけ(と言っても本当に小さい町なんですが)で、見所は、あちこちの丘(というか頂)の上に散在しています。小さな広場(でも立派なペスト記念柱あり)に車を止め、最初に、中心に近い「旧城」を見に行きますが、ガイドツアーのみで時間が合わず。別に観光客でごった返しているわけじゃないんですけど。
で、お目当ての「野外鉱山博物館」に。実はこの町、12世紀からごく最近まで繁栄した鉱山都市なんですね。今は人口1万人くらいになりましたが、その割に建物が立派なのはそのせいですし、世界遺産にも登録されているんです。博物館と言っても、要するに廃坑です。ところがここもツアーの時間がうまくなく。駐車場(といっても道端で数台しか止まれませんが)の番人のおじさんが、いい時間があるからと教えてくれたんですが、窓口では一杯とのこと。で、もう一つの見所の「新城」を先に見に行くと言ったら、ここの駐車券で停められると言ってくれました。実は、これらのコミュニケーション、すべて身振り手振りなんです。おじさんはスロヴァキア語しか話せないんで。でも、何とかなるものですね。
新城は、一種の塔で、オスマントルコに備えて建設されたようです。これもガイドツアーだったんですが、中学くらいでしょうか、遠足と一緒になりましてね。係の説明よりも筆者の方を珍しげに見る生徒も少なからずいました。いろいろな展示がありましたが、最上階にスロヴァキアの国土の模型がありまして。本当に山ばかりでした。南西部と東端部にはそれなりの平野があるようですが。まあ、日本と同じような感じですね。
さて、鉱山の方にとって返すと例のおじさんが笑顔で迎えてくれます。で、駐車場代をいくらかまけてくれました。台数といいお金の取り方といい、商売っ気ゼロですね。あと、やっぱりというかあの遠足の一団が追いかけてきて一緒になってしまいました。だんだん、付き添い父兄の気分になってきましたが。あと、時間まではまわりで待っているんですが、展示されているトロッコや掘削機がやけに小さく、おかしく感じていました。
時間になり、ビデオを見てから、皆で合羽とヘルメットを着用し、数人に1台、コンクリートブロックのような懐中電灯を渡されます。そして、坑道まで歩いていくんですが、入口に着いて納得したのは、坑道が本当に狭く、上下は人の身長ぎりぎりで、左右は手を伸ばせばついてしまうくらい。で、ここに先ほどのトロッコや掘削機が通っていたので、だてにコンパクトじゃなかったんですね。それにしても、入るときは心細かったでしょうね。で、終了後、また、おじさんにお礼を言って「博物館」を後にしました。しかし、このおじさん、サラリーをもらっているんでしょうか?ボランティアならわかりますが。

さて、その後、東部に移動。で、途中で一旦ハンガリーに入り、アッグテレクという集落を目指すこととしました。ところが、バンスカー・シュティアヴニッツァを出てほどなく、警察に捕まってしまいまして。高速を降りると、そこにとてもにこやかな警官の二人組みが待ち構えていて、主に外国籍の車ばかりが停められている。てっきり、パスポートチェックかと思っていたら、高速チケット未購入の咎だったんです。そうでした、チェコでもオーストリアでも年間チケットを購入してシールを車に貼るんですが、スロヴァキアも同じだったんですね。でも、この国、高速道路が本当に飛び飛びにある程度なんでつい忘れていたんですね。因みに、罰金は50ユーロで、後で購入したチケットは4.9ユーロでした。ひょっとしたら、罰金も貴重な国家収入だったりして。警官がやけにフレンドリーだったのは、国民性なのか目的のせいなのか。

さて、スロヴァキア国内を数時間ドライブした後、脇道に入り、国境を越えたら1〜2キロでアッグテレクへ。実は、スロヴァキア・カルストからアッグテレク・カルストまでつながっており、この鍾乳洞郡があわせて世界遺産になっているんですね。で、どうも、ハンガリー側の方が整備されている雰囲気だったんで、国境を越えたわけです。で、入口付近は小リゾートになっていまして、家族連れが沢山遊んでいる。
鍾乳洞見学は、やはりガイドツアーで、総勢10人くらいだったんですが、見事にハンガリー語でしてね。でも、今陽子似の(筆者の年齢がしのばれますね)ガイドさんがきれいな英語を話して、時々ダイジェストしてくれます。鍾乳洞はなかなか見ごたえがあったんですが、中に、ステージがしつらえられているところがあり、しばしばコンサートが行われるようです。それにしても、国境を越えてたった1キロで、全く違う言語世界になってしまう。昨日知った、住民交換も思い起こしながら、ヨーロッパにおける国家というものの存在について本当に考えされられましたね。

さて、見学終了後、ハンガリーの田舎をしばしドライブした後、スロヴァキアに戻り、東南部のスロヴァキア第二の都市、人口23万のコシツェに。それにしても、ハンガリーでは交通標識も微妙に違い、人々の顔つきもスロヴァキアとは異なって見えたせいか、スロヴァキアに戻ると何かほっとするんですね。不思議なものです。