政治家の孤独

夏休みを利用して、ドイツを回っております。本日は、ベルヒテスガーデンという、ザルツブルクからほど近い景勝地におります。この場所、ご存知の方も多いと思いますが、ヒトラーの山荘があったところです。実は、この山荘、今でもありましてな、さっき行ってきたところです。ベルヒテスガーデンは山あいの観光地で、日本で言う高山のような雰囲気です。そこから、町外れにかなり急な山道を登っていくと15分くらいで駐車場がありまして。ここからは、チケットを買って専用バスが20分くらい、さらに急な山道、それも一車線の道路を黙々と登っていく。そして、終点から、内側が金張りの専用エレベーターで120mほど一気に登ったところがヒトラーの山荘、ケールシュタインハウスです。今回はあいにくの霧でしたが、晴れていればザルツブルク近郊の山々で絶景だそうです。
ちなみに、山荘は2階建てではありますが、小ぶりで日本の山々で見る宿泊用の山小屋とさして変わりません。また、内部も質素なものです。なお、今は、レストランになっています。

しかし、実際に見に行って感じたのは、政治家、とくにトップにあるものの孤独感とリスクですね。というのは、多分、このくらいの場所であれば、まず暗殺にあう可能性はゼロでしょう。逆に言えば、このくらいしないと暗殺の可能性が無視できるほど低くならないのかも知れない。また、常に人に見られる商売ですからね。ですから、気が休まるためにこのような山荘を構えたことの逆の意味を感じてしまうんですね。
同じことは、アメリカのオバマ大統領にも言えるでしょう。黒人の身で大統領選挙に打って出るだけで、暗殺やそれに近い身体上のリスクは極めて大きかったと思います。まして、当選した今ですから、絶えず緊張にさらされているものと思います。ヒラリーがすっかりオバマに忠誠を誓っていると巷間伝えられますが、彼のそのような覚悟に感じるところ大であったのではとも推察します。

しかし、絶景に癒されればそれでいいですが、今日のように霧に閉ざされることも多々あったと思います。そうした時、ヒトラーは何を考えていたんでしょうね。そのような想像も、限りない思索に誘います。

ともかく、最高権力者の心理は、一般人には窺い知れない部分が多々あるということを実感させられた訪問でした。