組織の不随意筋を随意筋に

その昔、合唱をやっていたことは前にも書いたと思いますが、ここではベルカント唱法を習うわけです。これがほとんどヨガでしてね。とにかく、余計な力を抜くんです。でも、難しいですよ。歌を歌うわけですから、どうしても力を入れなければ不可能ですよね。しかし、特にのどの前ありは極力脱力しなければいけない。
そうしたことを可能にするのは、腹筋なんですが、この腹筋もおへその周りではなく、もっと下、いわゆる臍下丹田あたりに力が入るように訓練するわけです。こんな部分、普段は使っていないわけでして、ほとんど不随意筋を随意筋にするがごとくです。しかし、不思議なことに、この、おへそのさらに下の部分に力が入るようになると上半身の余計な力が抜け、のどの発声が全身をふるわせるようになってくるんです。人体の楽器化ですね。歌っていて腕が共鳴したりすると感激しますよ。
大体、普通の生活で使う筋肉は、かなり偏った使い方をしていますね。ひょっとしたら、「肩に力が入る」というのは、特定の筋肉だけを使おうとする、狭窄的な体の使い方なのかもしれません。ですから、アスリートたちはトレーニングとともに、ストレッチなどで筋肉を大きく広く使うことに力を注いでいます。

ふと思ったんですが、このようなことって、人間の組織でもいえるような気がしますね。いわゆるエリート層、主に活躍する筋肉だけがどんどん活動しても、組織全体としては「肩に力が入った」状態になって、動きが鈍くなるようなことってないでしょうか。常に、ストレッチつまり血行を良くすることに意を用い、また、不随意筋化している部位の活性化によって、活動する筋肉の余計な負担を軽減し、組織全体の活動としていく。
しかし、ここでいう「不随意筋」ってなんでしょうね。使われていない宝の山、という意味では女性とか、ベテラン層とか。あるいは、天外伺郎の言うような「不良社員」か。
どうも、エリート層って、どこの会社でもそう違いはないと思いますが、「不随意筋」はその組織々々でいろいろなバリエーションがありそうです。で、ここに光を当て、活性化させることにより組織全体の活力を向上させることができるように思えます。

経営、何もエリート選抜だけが能じゃないように感じますね。