何でも知っているバカ

その昔、内田百輭が「何でも知っているバカがいる」と言ったそうな。筆者、この言葉を聞くと、ぎくっとしてしまいます。自分で言うのはおこがましいですが、結構広く興味を持っている方であると自負しています。しかし、それが何になるのかと言われると難しい部分があります。

もちろん、仕事に役立っている面はありますよ。特に、人事を生業としている身としては、いろいろなことに多少でも知識があるのとないのとでは、いろいろなメンバーから共感を得られるかどうかで全然違いますから。特に、技術職に対してはそうですね。技術職にある人は自分の分野に誇りがあり、興味を持ってもらえることに非常に喜びを感じる傾向が強いようですので。

しかし、本質的には知ること自体の喜びですね。これも、いくつかの面がありそうです。

一つは知的虚栄心です。清の乾隆帝は、おつきの学者たちにさまざまな文句の出典を知っているかと尋ね、学者たちが一生懸命に調べても分からず恐る恐る聞いてくる瞬間に最も快感を感じたと言われます。もちろん、本人は分かっているんです。どうもいやらしい話ではありますが、人が知らないことを知っているというのはそれだけで嬉しいものであるのは致し方ないですね。まあ、中国の悪逆非道な諸皇帝に比べれば本当に健康な趣味であるのは事実です。

もう一つは、知ること自体の持つ喜びです。この背景には、「知ること=征服」という図式が隠れています。そう、知りたいというのは一種の征服欲なんだと思いますよ。どうも、人間には知りたいという欲求が強い人と、動かしたいと欲する人に分かれるんじゃないでしょうか。筆者は断然前者なんでしょう。

とはいえ、知識は思考を刺激しますし、知っているだけで考えないと思われるのも癪でして、それがこのブログを始めた本当の理由なんだろうなぁ、というのが本日の結論です。