国母選手の騒動に思う

大分旧聞に属しますが、バンクーバーオリンピックでの国母選手の振る舞いと、その後の騒動はネット上でも賛否両論相当な波紋を広げました。今回はこの件について少し考えてみます。
海外生活をしている立場からすると、まず言いたいのは、税金で参加しているのに日本の逆宣伝をするなということですね。幸いなことに、少なくともヨーロッパでは日本人は日本人と言うだけで、同じアジア人でも(悪いですが)韓国人や中国人に比べてかなりな信用があります。例えば空港でのパスポートコントロールとか税関でも、格段に簡単に通してもらえます。これって、過去からのいろいろなポジティブな行動の積み重ねによるものと思います。また、例えば天皇さんご夫妻の海外訪問先での立ち居振る舞いとか雰囲気なんかからも相当なメリットを享受しています。そうした中、彼の行動はおよそ迷惑極まりないですね。
それでなくても、冬季オリンピックって夏に比べ多分に貴族的なムードがありますから、いっそう影響というか浮く部分が大きいように感じます。
まあ、そうは言っても、彼をもって日本人の代表と見られるとは限りませんが、少なくともスノーボードと言う競技にとっては決定的な悪影響でしょうね。トリノの時の成田童夢今井メロの兄弟も相当な雰囲気でしたし、今回の国母選手へのこうした注目から、スノーボードという競技が完全にロウ・ブラウなものであるというイメージが固まったということが言えると思います。
因みにイギリスでは知識層はサッカーについて一切話題にしませんし、逆に話題にするとその人の出自が疑われると言うとのこと。また、アメリカでもスポーツごとで社会的な信用が大きく異なります。特にプロゴルファーは非常にステイタスが高く、だからこそタイガー・ウッズの不倫があれだけ騒がれるんでしょうね。他のスポーツならあそこまでたたかれることはなかったでしょう。
また、彼の母校の冷たい態度に対して批判もあるようですが、学校のイメージへの打撃を最小限にしたいと言う動機が働いたと言うことなんでしょう。特にこれだけ厳しい就職状況の中、他の学生への影響も無いわけではないでしょうから大学も必死ですね。
いずれにせよ、オリンピックという場、いろいろな意味で注目度が高く、それだけに関係者も単なる競技能力だけでなく、いろいろな面を考えていく必要があるということですね。