文藝春秋というもの

今月もまた文藝春秋が届きました。
いつも思うんですが、この雑誌、ここだけ昭和から時間が止まったような錯覚に陥らせてくれます。
まず、追憶ものが非常に多い。それもほとんどは昭和の時代が対象です。
それから、軍隊関係の記事も欠かしていません。「日本軍に学ぶ」だったり「日本軍の戦略のまずさの告発」だったりとそのつど趣向を変えてはいますが、何らかの形で必ず入っていますね。

いったい、文藝春秋の読者層の平均年齢っていくつなんでしょうか。現在、50歳を超えている筆者から見ても相当上に感じるんですから、おそらく60歳半ばというところかも知れません。当然、誌面づくりもその辺をターゲットとしていることでしょう。

そうすると、気になるのは、この先どうするつもりなのかということですね。普通に考えれば、昭和に思いを残している人の数はどんどん減っていくわけで、自然先細りになります。何らかのリニューアルを検討しないんでしょうか。

しかし、考えようによっては、現在の形を続けるのが一番の道とも言えます。というのは、この総合月刊誌というジャンル、すでに「現代」はなく、「中央公論」だって昔日の影もなくなった今、「文藝春秋」残存者利益を一身に集めることができていますし、その規模はまだまだ侮れないものがあります。何より、大半の活字メディアが存亡の危機にある中、変にリニューアルしても既存の読者を失う一方、新たな読者の獲得は難しいでしょうから。

そう考えると、同誌が昭和に殉じているように見えるのもある意味合理的な選択なんでしょう。

それにしても、昭和の世界に遊ぶワンダーランドとしてはいざ知らず、情報源としてはあまりに鮮度が落ちてきたように感じまして、購読自体を再検討しているところではあります。ただ、毎号、一つくらいはっとさせられる記事があるのも事実で、まあ、しばらくだらだらと続いていくんでしょうね。