2009-01-01から1年間の記事一覧

東と西(その1)ひらがな的世界と漢字的世界

日本を東と西で分ける論をよく見聞きします。亡くなった網野善彦先生なんかもそのような論者でしたね。 この視点、あまり固定的に考えるのは危険でしょうが、いろいろ面白い議論が可能です。 その一つが、言葉です。東の場合は子音的で漢語的世界、西はより…

道路工事

ヨーロッパを車で走っていると、道路工事にもお国ぶりが表れます。 ドイツなんかは、高速道路の片側工事の場合なんか、よく反対の片側3車線をむりやり2車線ずつにしますね。各車線はもう本当に狭くて、走っていて怖いくらいです。人によっては、スピードを…

軍服 ドイツとアメリカ

第二次大戦中の軍服では、何といってもドイツ軍の人気が高いかと思います。 詰襟とか、独特の形の鉄帽など、一目でドイツ軍と分かりますし、将校の服装など、その態度とあいまってなんとも言えない緊張感を感じます。 それに比べると、アメリカ軍の軍服はほ…

間の悪い話

その1) 昔、テレビの日曜洋画劇場かなんかで「ガンジー」をやっていました。非暴力に徹したガンジーが最後に凶弾に倒れ、テロップとともに静かに映画が終わります。解説者もさすがにしんみりと、ガンジーの偉大さと暴力への怒りを込めたコメントで締めます…

人間という「壊れた」存在

やや旧聞に属しますが、日経ビジネス8月10日号の編集長インタビューには、はっとさせられました。話者は零鳥類学者の島泰三氏です。 氏は、安田講堂籠城の経験や、戦後の団塊世代にとっての親世代の優秀者が多く戦死し、十分な指導を受けられなかったなど…

製造業の本質

筆者、現在ある製造会社に奉職しております。販売は別な法人が担当しているため、ある意味製造業の本質に迫るような気分がしております。一番感じるのは、製造現場の不安定性ですね。まず、設備は実によく故障します。一つ一つの機械では、それほどの故障率…

衛兵交代

ヨーロッパの王宮につきものなのは、いわゆる衛兵交代です。どこでも、観光の目玉ですね。 しかし、ここにもいろいろなお国振りが現れています。北欧では、デンマーク・ノルウェイ・スウェーデンの三王国それぞれに衛兵交代がありますが、ノルウェイはごく小…

ヨーロッパも夏は結構暑くなるんですが、不思議なことに、飲みものに本当に氷を使うことが少ないんですよ。 いや、別に冷たいものを忌避しているわけじゃないとは思います。ビールはちゃんと冷えていますし。しかし、飛行機のサービスでもまず氷はないですね…

「悪評」と町おこし

今回の旅行で、強制収容所を3箇所訪問しましたが、最初のダッハウ収容所は、ミュンヘン郊外のごく普通の町にあります。実際には、ダッハウの町の中心は少しはずれてはいますが、依然家並みの中にあります。駐車場に車を停め、収容所跡に行こうとすると、大…

改めて「格差」を考える

日本では選挙が終わり、風景が大きく変わったようですね。実は当地でも日本のテレビが見られるので、開票速報を昼下がりに楽しんでおりました。さて、今後の政治の中で、改めて格差の問題が取り上げられるように思います。確かに、今の日本の社会の中で、不…

組織の不随意筋を随意筋に

その昔、合唱をやっていたことは前にも書いたと思いますが、ここではベルカント唱法を習うわけです。これがほとんどヨガでしてね。とにかく、余計な力を抜くんです。でも、難しいですよ。歌を歌うわけですから、どうしても力を入れなければ不可能ですよね。…

強制収容所さまざま

今回のドイツ旅行で、3ヶ所強制収容所を訪れました。ミュンヘン近郊のダッハウ、ハノーファー近郊のベルゲン・ベルゼン、ハンブルク近郊のノイエンガンメです。 ダッハウは、まあ、非常にオーソドックスな展示でしたね。昔のバラックは一部復元されていただ…

歴史上のワーカホリック

ホーエンツォレルン家の故地に19世紀に再建というか、プロシアの国家としてのコンセプトを体現するものとして建てられたホーエンツォレルン城については、前にも書きましたが、そこではさまざまな君主が顕彰されていました。中でも、フリードリヒ大王こと…

ワーグナーと映画音楽

ドイツを旅しながら、ワーグナーの音楽をたっぷり聴いていました。ほんと、不思議なほどワーグナーがぴったりくるんですよ。それにしても、現代音楽はワーグナーに源を発していると言われています。例えば、「トリスタンとイゾルデ」の、調性がはてしなく変…

ドイツにおける戦災について

ドイツを旅するにあたって、心しなければならないのは、ひょっとしたら再建ではないかということです。 日本の場合、空襲を受けた都市は、大抵は全く新しい形に生まれ変わっていますね。 しかし、ドイツの場合、昔のとおりに再建するんですね。しかも、結構…

ドイツの自動車博物館

ドイツ回りの中で、自動車博物館を4つ訪問しました。 始めは、ミュンヘンのBMW博物館です。ここは、ミュンヘンの町の中心から少し離れたところにある、BMWの本社地区にあるんですが、本社自体が円筒を4つ束ねたような、通称四気筒という変わった高層ビルで…

政治システムの「生命力」

さて、昨日はドイツ帝国の「勢い」について書きましたが、このような勢いって、国自体の存亡とは別なところで生命力を持っているように思います。 ドイツの例では、確かに第一次大戦に敗れてカイゼルは亡命し、国は共和国になりましたが、「世界に冠たるドイ…

建築による政治

前回、ホーエンツォレルン城のありようについて、示威ではないかと書きましたが、今度は中部ドイツのゴスラーに行って、さらにその感を強くしました。 ここは、神聖ローマ帝国を建てたオットー大帝のブロンズの王座があり、それを見にいったんですが、それは…

城さまざま

ドイツでは、ニュルンベルクのカイザーブルクに始まり、ミュンヘン郊外のニンフェンブルク、中心地にあるレジデンツ、ルートヴィヒ2世の3つの城プラスワン(ヘレンキームゼー、リンダーホーフ、ノイシュバンシュタイン+ホーエンシュバンガウ)、ホーエン…

政治家の孤独

夏休みを利用して、ドイツを回っております。本日は、ベルヒテスガーデンという、ザルツブルクからほど近い景勝地におります。この場所、ご存知の方も多いと思いますが、ヒトラーの山荘があったところです。実は、この山荘、今でもありましてな、さっき行っ…

日本人の戦争観と江戸時代

本日のエントリーは多少問題かも。毎度の話で恐縮ですが、ヨーロッパの観光地って、結構血生ぐさい部分が多いですね。大都市を別とすると、大体はお城と教会なんですが、教会はともかく、お城はなかなかですよ。 今週末は、チェコ南部のチェスキー・クロムル…

マスコミの誇大報道について

まあ、いまさらですが、毎度マスコミの報道の大袈裟さには辟易させられます。例えば、お盆の交通渋滞の報道なんかもそうですね。毎度のパターンでおよそ生きた情報と言うものがありません。特に、乗客へのインタビューってやつは、何のためにやっているのか…

人の発するにおいについて

ヨーロッパやアメリカに住んでいると、しばしば人の体臭を感じます。また、一方、香水の香りもありふれていますね。一体、肉食を主とするせいでしょう、白人は体臭が強い人が多いように思います。彼らも気にしているようで、香水の発達はその防衛なんでしょ…

標準化ということ

畏友風観羽さんが、標準化の持つ危険について書いていたので、筆者も少し。確かに、マクドナルドの接客などでも標準化は見られるわけですが、もともとは大量生産の現場の発想かと思います。で、なぜ標準化するかというと、まずは安全と品質の確保のためです…

スロヴァキア紀行(その3)

さて、3日目、まず、コシツェの町を散策。この町は、東ヨーロッパにしては珍しく川沿いではなく、また、緑地帯をはさんだメインストリート(といっても1キロくらいですが)を中心とした変わった形をしています。 まず、朝一番は、フランティシュカー・ラー…

スロヴァキア紀行(その2)

さて、二日目の朝、バンスカー・ビストリッツァを出発し、南部のバンスカー・シュティアヴニッツァに向かいました。何だか同じような名前ですが、詳細はよくわかりませんのでご容赦を。 それにしても、スロヴァキアは本当に山がちです。バンスカー・ビストリ…

スロヴァキア紀行(その1)

この間、少し長めの休みがあったので、3泊4日でスロヴァキアに行ってきました。スロヴァキアというとどんなイメージがありますか?きっと、チェコと一緒だった国くらいじゃないでしょうか。しかも、旧のチェコスロヴァキアのイメージのもとになっている、…

ハプスブルクの残光

それにしても、久しぶりのウィーンでした、実は前回の訪問から22年もたっていたんですよ。しかし、基本的には何も変わっていませんでした。まあ、観光で食べている町の性格からして、しょうがないんでしょう。相変わらず、18〜19世紀のマリア・テレジ…

「代役」論

この週末を利用して、本当に久しぶりにウィーンへ行ってきました。といっても、土曜日の午後に着いて、少し見物した後は、その夜の国立歌劇場と日曜昼のウィーン・フィルのコンサートを聴いただけで終わりでしたが。この、本日日曜のコンサート、本当は小澤…

ペスト記念塔に思う

ヨーロッパを旅していて、よく目にするのが「ペスト記念塔」です。大抵、市の中心の広場などに建てられているんですが、結構グロテスクな格好のものも多くあります。 このペスト、今で言うパンデミックです。中世後期からヨーロッパ全体に蔓延して、一時は人…